ボランティア・スピリッツ賞(アワード)

ジブラルタ生命・プルデンシャル生命・PGF生命ほか主催/文部科学省後援
PRUDENTIAL SPIRIT OF COMMUNITY(通称:SOC)
ボランティア・スピリット賞(アワード)

【楽しもう・感じよう・考えよう】

徳武 雅也くん(18歳)※2014年4月掲載時点
第17回 ボランティア・スピリット賞 SOC奨励賞受賞

子どもCOP10に触発されて

「2005年の愛知万博は、僕が環境問題に興味を持った原点です。何度も通いました。タイミング良く2010年に地元で開催された『子どもCOP10』にも参加できたんです。各国の子どもたちの発信力に圧倒され悔しい想いをしながら、日本の提言をまとめました。この提言を元にいざ地元名古屋での課題解決に向けて動き始めたら、テーマが壮大すぎて実現が難しすぎるっていう問題にぶち当たったんですね。でも、なんとか若者たちで環境に関する活動を継続していこう、この火を燃やし続けていこうって始まったのが『学生環境団体NEO』なんです」。 中学・高校生で構成する『学生環境団体NEO』に徳武くんが、参加したのは中学生の時だ。高校在学時には、事務局長としてメンバーを取りまとめた。同団体は生物多様性・自然環境をテーマに、地元愛知・名古屋の環境や生態系に及ぼす影響について着目し活動している。

「楽しむことは学びの糧」と語る徳武 雅也くん

体験してみよう

2012年に小・中学生を対象に『外来種を捕まえて、食べて生物多様性を感じよう』を二回の講座にわたって『なごや環境大学』の事業の一環として実施。1回目は、河川の環境問題に携わる専門家を招き、名古屋に生息している生物や外来種の種類などの解説や『池干し(池の水を抜き、魚を捕獲し水槽に移して外来種と在来種を選別した後、在来種を池に戻す作業)』についての講義を行った。2回目は、参加した小・中学生が胴長を着て『池干し』を実体験。捕獲したブラックバスを調理してみんなで試食した。参加した子どもたちからは「楽しかった。もっとほかの外来種についても知りたいと思った」「ブラックバスの天ぷらが美味しかった」との声があがった。

「外来種も生き物だってことも共有しました。外来種の駆除は、地域固有の生態系を守るためには必要なこと。でも地域の環境を保全するために殺される命もある。命の問題なんだってことをブラックバスを、『命の恵み』として『食べる』ことで感じてほしかったんです。難しいテーマだったので、子どもたちよりも僕たちの方がいろいろ考えてしまうことが多かったですね。楽しみながら地域環境への興味を持ってもらうという目的は達成できたんじゃないかな」。

取材当日も新規イベントに向けてミーティングを行っていた

頼ることは悪いことじゃない

危険を伴う『池干し』体験を、中学・高校生のメンバーだけで、運営するのは難しい。子どもたちに安全に作業してもらうために、事前に環境部の担当者からレクチャーを受けた。ブラックバスの調理方法も『天ぷらにして塩で食べると最高だよ!』という環境局職員のアドバイスから生まれた。「僕たちの活動を大人に理解してもらうのも大切です。僕たちだけではわからないことは専門家を頼って教えてもらう。足しげく通うことで信頼関係も築けるし、大きなことがあった時にフォローしてもらえます」。

こうした徳武くんたちの働きかけは、実を結びつつある。「いま、愛知・名古屋では、行政の皆さんが『若者、結構いけるぞ』って期待してくれて『共同で活動していく』仕組みができつつあります。行政が若者の活動を緩やかに見守ってくれるんです。世代交代があって活動のサイクルが短くならざるを得ない中学・高校生にとっては、こうしたバックアップがあると継続的な活動につながるので一番嬉しい変化です」。

若者たちが起こす新たなムーブメント「名古屋わかもの会議」

出会いをありがとう!

徳武くんは、昨年第17回ボランティア・スピリット賞SOC奨励賞受賞を受賞した。「ボランティア・スピリット賞は、それぞれの分野で苦労を重ねて経験を積み、人間味を高めた人たちの集まりでした。喜びや苦労を分かち合える仲間との出会いをありがとう」。