ボランティア・スピリッツ賞(アワード)

ジブラルタ生命・プルデンシャル生命・PGF生命ほか主催/文部科学省後援
PRUDENTIAL SPIRIT OF COMMUNITY(通称:SOC)
ボランティア・スピリット賞(アワード)

七ヶ浜で、浜菊祭りをやりたい!

クラーク記念国際高等学校 仙台キャンパス
第17回ボランティア・スピリット賞 ブロック賞受賞

横浜青葉キャンパスとのコラボレーション

クラーク記念国際高等学校 仙台キャンパスの福祉・心理コースの生徒たちは、壊滅的な津波被害を受けた七ヶ浜町の農地で作物を育てる「農地再生プロジェクト」を、東日本大震災の年にスタート。高校生のボランティアを受け入れてくれた避難所での活動がひと段落し、次の活動地を探していた時この土地に出会った。慣れた手つきで作業を進めるメンバーは、底抜けに明るい! 掘り起こした土の中から出てきた虫に一喜一憂しながら、学校やおこづかいの話にも花が咲く。ブロック賞の受賞についても「みんなで休みを返上して活動してきたことが認められたってところが嬉しかったです」と輝く笑顔が溢れる。

浜菊畑、絶賛耕し中!

仙台キャンパスの仲間が七ヶ浜町の荒れた農地を耕し育てた小豆は、同校横浜青葉キャンパスの仲間たちが製菓実習でマフィンやパウンドケーキに加工する。小豆の次はホウレン草を、そして、大豆を栽培した。「仙台と横浜では距離が遠いから、連絡手段が電話になるので、意見を一致させるのに手間取ることもありました」と教えてくれた生徒も、収穫した小豆を横浜青葉キャンパスに届けた際、小豆入り抹茶マフィンを一緒に作った。「横浜青葉キャンパスの仲間も、長期休みになると仙台に来てくれて、七ヶ浜で一緒にボランティアして交流することもできました」と振り返る。距離は離れていても交流を重ねることでお互いの活動を理解し、気持ちも繋がったと言う。高校生たちの想いの詰まった焼き菓子は横浜青葉キャンパスで販売され、売上金は義捐金として七ヶ浜町に還元された。
震災前のように稲や野菜が育てられることがなくなった七ヶ浜の土地を緑に再生することで、地域の方々が元気になるよう願って始めた活動だが、津波で塩水を含んでしまった土地も植えた作物が土の養分と一緒に塩分を吸うため塩分が少しずつさがる効果があるそうだ。日を追うごとに土地が元気を取り戻しつつあるのを実感する中で、自分たちの活動が、本当に地域の人たちを元気にしているのか疑問を持ち始めた。もっと地域を活性化したい、次のステージに挑む準備に取り掛かった。

今、被災地が必要としていること

「年月が経つにつれ、被災地が必要としていることって変わってきてると思うんです」。新たな壁にぶつかった今年4月、自分たちの活動をもう一度見直そうと、地元の方の案内で七ヶ浜町を巡った。歴史的な背景を学ぶ中、七ヶ浜の展望台で聞いた話が生徒たちの心を動かした。それは、町の花である浜菊だ。震災の直前、七ヶ浜の海岸沖に浮かぶ小さな島々に浜菊が植えられた。秋になったら島々に浜菊が咲き乱れるのを町の人々は楽しみにしていたと言う。しかし、花が咲くことはなかった、津波で全て流されてしまった。自分たちが意志を継ぎ浜菊を栽培しようと、生徒たちは浜辺近くの土地を開墾している。
3年以上も手つかずの土地に伸び放題になっている草をむしり、固くなった土をスコップで掘り起こし、鍬(くわ)で畝(うね)を作っていく。苗も、海岸近くの群生地から採取した地元育ちにこだわる。畑の準備が整ったら、地域の小学生や中学生、仮設住宅の住人も誘い一緒に植えたいと考えている。そして秋に綺麗な花が咲いたら町外からも人が集まるような浜菊祭りの開催を構想している。

  • 地道に草むしり。
  • を掘り起こすのは力仕事。
  • 鍬の使い方もばっちり!

継続するからこそ見えること

仲間がいるから笑顔になれる。

毎月数回訪れるこの地域への愛着も強い。だからこそ、自分たちがやってきたボランティアの活動が地域に必要とされていたのか、その先が見たくなると言う。瓦礫を撤去した土地が田んぼや畑に再生されているのを自分の目で確かめると、なんとも嬉しくなり自分たちのやったことの意味も感じられるそうだ。高校生が自身の足で情報を集め、現地に近いからこそ地域と共に歩み、若者の感性の詰まった活動は、たくさんの浜菊とたくさんの笑顔を咲かせるだろう。